高周波誘電加熱高周波の技術

高周波誘電加熱について

高周波誘電加熱の原理

高周波誘電加熱の原理と特徴

原理と特徴

原理:
右図のように、被加熱物(誘電体)が電界内におかれると、誘電体内部で分極が起こり、電荷が生じます。この電界の向きは周波数の速度で変化し、双極子は激しい内部摩擦を起こします。これが発熱となって現れます。

特徴:
■対象物自体発熱するので加熱効率が高い
■内外部が同時に発熱するので、急速加熱ができる
■容器内部の対象物を選択加熱できる
■加熱制御が容易にできる・最も身近な例は電子レンジです。
※電子レンジの場合は、マイクロ波誘電加熱。原理は同じ
・非常に多く使われているのがビニール溶着や建材の接着です。
・被加熱物は、水や木材、プラスチックなどの絶縁体で分極が起こる材料が対象になります。
・電極の形状により、様々な利用があります。そして高周波プレヒーターは全世界で利用されている誘電加熱装置です。

そして高周波プレヒーターは全世界で利用されている誘電加熱装置です。


高周波プレヒーター

高周波プレヒーター

用途:
・半導体や電子部品の封止など
・機械部品、電気部品など
・食器、什器など
・食品サンプルなど

高周波誘電加熱の長短所

高周波誘電加熱の長所
■内外部の急速・均一加熱
・被加熱自身が発熱するので肉厚材料の場合でも急速・均一に加熱することができる
■雰囲気中の直接加熱
・真空や不活性ガス雰囲気中での加熱ができる
■包装内部材料の加熱ができる
・プラスチックフィルムなどで包装された内部食品材料なども加熱することができる
■熱効率が高い
・被加熱物自身が発熱するので、外部からの加熱に比較し、熱効率が高く経済的である
■選択加熱
・材料による誘電損失係数の差を利用して、局部・選択加熱をすることができる
■起動・温度制御が容易
・電源投入と同時に加熱開始し、高周波電力の自在な制御により、スピーディーな温度制御が可能
■作業環境と安全
・燃焼がないので、有毒ガスの発生や周囲環境が高温にならず作業環境が良い
高周波誘電加熱の短所
■電力変換効率が悪い
・電子管(真空管)による高周波発生回路を使用のため、投入電力vs出力電力の変換効率が悪い
■設備費が他の加熱源と較べて高い
・他の加熱手段(ガス、重油、抵抗加熱など)に比較し、装置設備費が高い
■加熱できる材料・形状の制限
・加熱できる材料の制限があり、さらに不定形な材料の場合は、均一に加熱ができない
■電磁波障害の危険性
・漏洩電界によるノイズ発生や通信障害を発生する危険性がある

高周波誘電加熱の応用事例

応用事例 溶着
高周波ウエルダーとして主として塩ビ樹脂フィルムによる様々な溶着加工に利用。
■浮き輪などの空気物玩具
■ウォーターベッド
■ファイル、手帳表紙など文房具
■輸液、採血バッグ、カテーテルなどの医療器具
■原子力発電に関わる低レベル廃棄物の塩ビ封止
■繊維製品の芯地の溶着など
■自動車内装部品など
応用事例 予熱
高周波プレヒーターとして主として熱硬化性樹脂の成型前予熱に利用
■メラミン製食器・テーブル什器、フェノール製漆塗用食器・什器の圧縮成型前予熱
■エポキシ/フェノール樹脂によるコミテーターや自動車・機械部品の圧縮成型前予熱
■エポキシ/フェノール樹脂によるコイル、コンデンサーなどの電気部品のトランスファー成型前予熱
■エポキシ樹脂による IC、トランジスタなどの半導体部品のトランスファー成型前予熱
■SMC/BMC樹脂によるモータなど機械部品の成型前予熱
応用事例 乾燥
■木製家具・建材・集成材などの接着剤の急速乾燥
■印刷業界における水性インクや水性接着剤などの急速乾燥
■木材や殻類などの農産物の乾燥
■陶磁器などの窯業材料の焼成前乾燥
■染色後の繊維の乾燥
応用事例 その他
■染色後の繊維の乾燥
■合成繊維製のロープやテープの熱処理
■冷凍食品の解凍、殺菌
■木材や穀類など、農産物の乾燥
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