高周波誘導加熱装置の基本的な構成ユニットを示します

高周波誘導加熱装置の基本構成

誘導加熱電源 基本構成

[電源部] ~ [整合部] ~ [加熱コイル]

・電源部で高周波電力を作り出し、整合部で電力増幅と最適整合をとり、効率よく加熱コイルに高周波電力を供給

・加熱部の材料温度を測定し、電源部にフィードバックすることで、定置型やプログラム型の温度制御が可能 →上図 青色線

・電源部~整合部(器)の電力供給は表面積の大きなフレキシブルケーブルを使用することで分離化が可能 →上図 赤色線

・整合部~加熱コイルは大きな電力に増幅されており、損失(発熱)抑制に銅板構造の給電線で接続 →上図 赤色線

・整合部と加熱コイルを離れて配置する場合は、一般的には特殊な水冷ケーブルが使用されるが、当社では、整合器の小型化により、可能な限り整合器と加熱コイルを一体配置するようにしている →上図 水色線

誘導加熱に必要な高周波電源を選ぶ場合、下記の各要素を考慮して下さい。

>より詳細は技術資料をご参照ください

1.必要な電源出力を選ぶ:必要電力を計算し、損失分と効率を考慮

検討要素:被加熱物(加熱対象部)の材質、質量、加熱対象部、目標加熱温度、目標昇温時間など
必要電力P1 の計算:P(kW) = 4.18×M(kg)×C(比熱)×⊿T(昇温幅)/t(sec) *1 cal ≒ 4.18 Jule
P2(kW) =放射損、伝導損、電源の変換効率、etc)⇒損失電力量
必要出力P3(kW) = (P1 + P2) /μ(効率:10~70%)

2.適切な周波数を選ぶ:高周波電流の浸透深さ(表皮効果)を考慮

検討要素:加熱処理の目的、被加熱物(加熱対象部)の材質、容積・厚みなど
浸透深さ:被加熱物の表面電流密度を1とし、これが約37%まで減衰する距離=電力の87%が損失発熱する距離
高周波焼入時の焼入深さ、小径材料の加熱、薄板加熱などの処理時に考慮を要す

<選ぶなら>
25~ 50kHz   ⇒  IMC-ASH 型
25~100kHz  ⇒  IMC-AFH 型
25~400kHz  ⇒  IMC-ADH 型
1.5MHz    ⇒  IMC-AMH 型

うず電流密度分布
 
計算式
σ = 浸透深さ(cm)
f = 電流の周波数(Hz)
μ = 被加熱体の絶対透磁率(比透磁率)
ρ = 被加熱体の固有抵抗(μΩ・cm)

3.加熱処理の目的から選ぶ

検討要素:多様な対象物(材質、形状など)、限定された対象物(大量生産品など)

<選ぶなら>
多様な対象物   ⇒  IMC-ADH
限定的対象物  ⇒  IMC-ASH/AFH
極小/薄肉物   ⇒  IMC-AMH

4.高周波誘導加熱装置を構成する下記の諸要素や付帯設備、機器を検討

検討要素:供給電源・冷却水給排水設備との連結、温度・プログラム制御の要否、加熱雰囲気構成の有無、自動化装置との併設など

高周波誘導加熱装置の構成

電源部
3kHz~3MHz帯のインバータ電源と高周波回路制御系より構成
※MOSFET又はIGBTの固体素子と高信頼ダイオードによるスイッチング方式
※高周波を発生させるので、【発振部】と呼ばれることもある
整合部
トランスとコンデンサによる共振回路で、電源部内蔵型と分離型がある
※分離型の場合、電源部~整合部は「フレキシブル出力ケーブル」で接続
※インピーダンス整合と周波数同調を合わせて整合(マッチング)と呼ぶ
操作部
運転状態を表示する計器、表示灯と操作・設定用スイッチ、ダイヤルなど
※標準仕様は電源部パネルに搭載
※温度測定機能、プログラム制御やデータ収集機能更に機構部操作系などの付帯仕様がある場合、分離型のコントロールボックスが装備される事がある
加熱部
加熱処理内容に対応の加熱コイル。全てカスタムデザインとなる
※整合部~加熱コイル接続は「銅板製ブスバー固定接続」
機構部
被加熱物の固定用治具、マテハン・搬送部、加熱・溶解炉など
※機構部は全てユーザー様の用途に合わせたカスタムデザイン
電力・冷却水
高周波誘導加熱装置を運転するために必要とする電力、冷却水や付帯装置を動かすための油・空圧などを総称して【ユーティリティ】と呼ぶ
※一次側の200V商用電源及び冷却水の供給は基本として電源部に接続
※本装置の加熱部や機構部の構造・運転条件により別途の商用電源供給を必要とする場合がある
※本装置の電源部、整合部及び加熱部の冷却は基本的全て冷却水方式

各部への冷却水供給と配管は装置仕様により設計される
© 2008 I.mecs Co., Ltd.